点訳アラカルト

第48回 弦楽器曲の点訳
2007.9.3掲載

今回は弦楽器曲の点訳について簡単に説明します。
弦楽器にはバイオリン、ビオラ、チェロ、ウクレレ、ギターなどさまざまな楽器があります。弦楽器の楽譜は、ソロの場合は単旋律で書かれているので、発想標語や拍子記号を打ったあと、次行3マス目に数符なしの小節番号、あるいは(A)(B)などの練習番号を書き、1マスあけて楽譜を打っていくやり方で点訳しています。単旋律の場合は、ページ末までどんどん詰めて打っていけるので気が楽ですが、弦楽器の点訳にはピアノ伴奏付きや、他の楽器とのトリオ、カルテットなどの重奏、はてはオーケストラのスコア譜まで登場します。

ピアノ伴奏譜の場合は、バイオリン、ピアノ右手、左手記号をたて行に並べて書き、数小節ずつ打って1パラレルを作り、1行あけて又同じ形で入れていきます。弦楽カルテットなども、たて行にバイオリン1・2、ビオラ、チェロを書き、それぞれのパートを入れていきます。

このようなスコア譜(多段譜)で頭を悩ますのが、1ページの中にいかに見易くムダなく、パラレル数と小節数をはめ込めるかのレイアウトです。見当付けて打っていっても、最後の1小節がページ内に収まらずやり直したり、うまく入ったと喜んでいると、校正で直されてページからはみ出したりも度々。オーケストラのスコア譜ともなると、木管から金管打楽器コントラバスまでの全パートをたてに並べますから、1ページに1小節しか入らないこともあります。

その他、弦楽器には弦特有の記号や奏法 ― 弓記号、弦記号、ポジション記号、ハーモニクス、左手ピチカートなどの特殊記号が出てくるので、楽譜点訳の本を開いて書き方を捜し、記号を入れる場所にアレコレと頭をひねります。

現在トニカで手がけている弦楽器は、主にバイオリンとビオラです。昨年は珍しくウクレレの依頼がありました。琴や三味線も弦楽器の一部ですが、トニカには邦楽部門もありますのでそちらの回も楽しみにお待ち下さい。

次回は「邦楽器曲」の予定です。お楽しみに・・・。
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