点訳アラカルト


第31回 点訳は趣味?
2004.8.1


あることで趣味の欄を書くことがあった。はてさて何を書こうか迷った。
木彫り、陶芸、卓球、コーラス、編み物・・・、昔はあれこれ手を出して楽しんでいたけれど、楽譜点訳を知ってからというもの、これが唯一の楽しみになってしまった。

そこで楽譜点訳を趣味に入れてしまっていいものか、一瞬戸惑った。ホームページのトップに、”「トニカ」は楽譜の点訳をしているボランティアグループです”とあるように、楽譜点訳はボランティアであって趣味ではない・・・と、頭のどこかで言っている。

でも、ある本で ”ボランティアは、不自由な人のために何かしてあげることと考えられているが、人のためではなくて、自分のためにするのが長続きの秘訣”と書いてあった。実際、楽譜点訳が面白くなかったら、10年以上も続いていないと思う。

どんな楽譜でも、例えばピアノのこみ入った複雑な楽譜だと、どういうふうに点訳したら読みやすいかあれこれ考えたり、簡単な楽譜なら、絶対ミスをしないぞとか、点訳を始めると時間がたつのも忘れて夢中になれる。また、自分が演奏でもしなければ普段見ることが無いような、いろいろな楽器の楽譜にお目にかかれるのも楽しみである。

時には、もうちょっと余裕を持って依頼してくれればいいのにと、愚痴のでることもあるけれど、期限までに間に合わせるために夜更かししたり、家事の手を抜いたりしても、そのために犠牲になっているという気持ちはない。大変であっても面白いのである。そう考えると楽譜点訳は自分の楽しみ・・・、まさしく趣味である。

でも、点字楽譜を必要とされていなければ、点訳は無意味なものになってしまう。楽しいからといっても、おそらく出来るものではない。必要としてくれる人がいて、その人たちのお役に少しでもたっていると思うから出来ることであり、長続きしているのである。好きなことでボランティア活動が出来て、幸せである。

トニカ会員

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