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事務所前の白木蓮の並木の花の季節も過ぎて、トニカの新たな年度がスタートしました。賛助会員の皆様にはお元気でお過ごしのことと存じます。 トニカ通信第14号をお送りします。本年度もどうぞよろしくお願い申し上げます。
《トニカの近況とご報告》
トニカでは、加門会長のもと2011年度の活動が終了したのを受けて、去る4月18日に第25回定期総会を開催しました。その結果今年度は升田が新会長に就任いたしました。
2011年度の依頼は点字楽譜のものから約140件、新たな入力は約3000ページでした。皆様から寄せられた賛助会会費は、例年通り点字楽譜依頼者の負担軽減の一助として使わせていただきました。本当にありがとうございました。本日2011年度賛助会会計報告書を同封しましたのでご覧下さい。なお、トニカ通信の通信費及び文具代については、4月1日以降に支出したため次年度に計上いたします。
<<<<<<<<<<<<<<<<<<>>>>>>>>>>>>>>> 『大震災と記念コンサート』
仙台ガブリエリブラス 代表 戸田信一
1971年(昭和46年)に、宮城県立盲学校(現在は宮城県立支援学校)吹奏楽部OB4人で、金管アンサンブルを結成しました。去年は丁度、結成40周年目の区切りとして、全盲のトロンボーン奏者、鈴木加奈子さんをお招きし記念コンサートを開催する予定でした。ところが、ご存知のように3月11日の大震災のため、会場の市民会館が使用不能となり今年に持ち越しとなりました。メンバーの中にも海の近くに住まいがあり楽譜や楽器が使えなくなった人もいます。記念演奏会の開催は、諦めていたのですが、8月になって市民会館の補修が終了し、今年の5月3日に開催できる運びとなりメンバー一同、喜んでいます。楽器や楽譜も何とか調達でき、現在は、演奏会に向け練習に励んでいます。
点字楽譜普及会トニカ様にはカルメンファンタジーの曲の点訳をお願いしてから20年になります。楽譜のファイルも7冊になりました。私も、もうすぐ70才になります。これから何年トランペットを吹くことが出来るか分かりませんし、50周年のコンサートまでは到底吹けないと思いますが、できる限り頑張るつもりです。
ブラスアンサンブルの楽譜も、この頃は、お子さん向けの日本人による良い編曲も出ていますので、レパートリーも増えて来ました。いろいろと面倒な点もありますでしょうが、今後共、どうぞ宜しくお願い致します。
震災後次の演奏活動を行いました。
6月 5日 「とっておきの音楽祭」
8月21日 24時間TV「愛は地球を救う」
9月19日 日本視覚障害者全国大会
10月 1日 光明支援学校の秋祭り
10月15日 宮町商店会の秋祭り
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点字楽譜と私
神作悦穂
私は、先天性緑内障の視覚障害者で、現在は全盲です。今日に至っても声楽と和声を習っている「一音会ミュージックスクール」と出会ったのは小学校3年生のときです。私はそれまでは強度の弱視でありながらも「ヤマハ音楽教室」へ通っていました。それが最初は幼稚園よりも楽しいくらいでしたが、初見演奏が始まってからはグループレッスンについていかれなくなりました。そこでヤマハの先生に母が相談して紹介していただいたのが「一音会ミュージックスクール」でした。そこではその会の創立者である江口先生ご自身が、関節リウマチを患い、それまではすばらしいピアニストであったにもかかわらず、自らピアノを弾くことができなくなってしまった方です。ですから「視覚障害者に音楽の楽しさを教えよう」という熱意が強く、私よりも先にピアノを習っていた視覚障害の 子供たちもいました。そこで私もピアノを習い続けることができたのです。
私は中学3年生を迎えたとき、進路を筑波大学付属盲学校の音楽科に決めたのです。そのとき江口先生が受験前の冬休みを返上して受験曲のレッスンをして下さいました。おかげさまで合格できて本当によかったです。そこでは点字楽譜を使って音楽を学ぶことになりました。実はそれまでは楽譜が見えないので担当になられた一音会の先生が私にあったピアノ練習用テープを作ってくださったのです。そんなわけで高校生になってから点字楽譜を使ってピアノ曲を読んで弾くのは並大抵のことではありませんでした。何度も「子供のころの一音会のように練習用のテープを作って下さったらなあ」と思ったほどでした。たくさんお世話になり、盲学校の先生のご指導の下、どうにか読んで弾くことができるようになりました。でもそうなるには本当に苦労しましたし、クラスメイトについていかれなくなりました。でも今となっては青春期のよい思い出です。
その後も一音会では声楽と和声を習っています。当然ながら点字楽譜は自分で読みますが、担当になられた先生は私が点字楽譜を使って勉強していることを受け入れて下さり、それに見合ったレッスンをして下さっています。それがなんとすばらしいことには、都合により担当の先生が代ってもそれらをきちんと引き継いで下さるのです。江口先生は先日亡くなられましたが、その功績が後世まで残るということは本当に偉大な人なのだということを改めて実感しました。
このようなことは視覚障害者にとってごく自然なことだと私は思っていました。ところが他の視覚障害者の方々は「音楽を習いたくてもなかなか自分にあった先生に出会えない」といっています。そういうわけで私がこうしてレッスンを受けられることはとてもありがたく尊いことだと気づきました。こうして好きな音楽を生活の中に生かせればと思っています。
このようにしてこれからも「トニカ」には点字楽譜を作っていただくことになります。いろいろとお世話になりますが、今後ともよろしくお願いいたします。
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《賛助会員継続のお願いと新会員募集について》
皆様には引き続き賛助会員として御支援、御協力くださるようお願いいたします。振込用紙を同封させていただきましたのでよろしくお願い申し上げます。なお、お振込の際の受領書を領収書に代えさせていただきますので御了承ください。
トニカでは新しい会員と賛助会員の募集を常時行っております。トニカの案内を同封させていただきますので、点訳をやってみたい方、賛助会に賛同してくださる方がいらっしゃいましたら、お渡し下さるようお願いいたします。点訳に関心のある方のために講習会を行っております。また、トニカについての御意見・御要望をお寄せください。お待ちしております。
≪編集者より≫
日頃皆様にはご支援をいただきながらご無沙汰ばかりで心苦しく思っております。諸般の事情によりトニカ通信の内容も縮小せざるを得なくなりましたが、会員の神作悦穂様からのご投稿や、特に今年は昨年の東日本大震災後に関して仙台の戸田信一様からのご報告もお寄せいただきましたのでご紹介させていただきました。ご投稿いただきましたお二方にあつく御礼申し上げます。
【広報担当 伴・齋藤】
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