世界中がコロナ感染に覆われる中で、大地は生命を育み、新緑の若枝が風に揺れる季節になりました。
賛助会員の皆様方には、この困難な時期におきましても 点字楽譜ご利用者またトニカの点訳者のためにご支援をいただき、心からの感謝を申し上げます。
トニカ通信23号をお送りいたします。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。
1. 活動のご報告
2020年度はコロナ禍で事務所での活動は制限されましたが、宮平正樹会長を中心に、依頼や注文にできるだけ早く正確な点訳で応じるべく努めました。この結果、新たな依頼による入力
2,870ページと、ホームページ掲載の126件の点字楽譜を依頼者に提供することができました。
皆様から寄せられました賛助会会費は、これまでどおり依頼者の負担軽減の一助として使わせていただきました。誠にありがとうございました。本日、2020年度賛助会会計報告(別紙)を同封致しますのでご覧ください。
トニカでは去る4月14日に定期総会を開催し、新たに豊田
静が会長に就任いたしました。2021年度も一同、心を新たにし、依頼者に親しまれ頼られる点訳グループとして努力を続けてまいります。引き続きご支援を宜しくお願いいたします。
2. 賛助会員継続のお願い
目で楽譜を読むことができなくても、音楽に情熱を傾ける人がいらっしゃる限り、私達は楽譜の点訳にささやかな努力を続け、利用者の皆様の期待に応えていきたいと思っております。
どうぞ、こうした趣旨をご理解いただき、皆様には是非、引き続き賛助会員としてご支援賜りますよう心よりお願い申し上げます。
大変勝手で恐縮ですが、振込用紙を同封させていただきましたので、お手数ですがご都合のよいときに郵便局でお振込みいただければ幸いです。 インターネットからでも結構です。
ホームページアドレス⇒http://gakuten-tonica.sakura.ne.jp/
なお、お振込の際の受領書を領収書に代えさせていただいております。ご容赦ください。
また、トニカ通信はトニカのホームページでもご覧いただけますので、紙の節約に御協力下さる方は、 振込の際、通信欄に「トニカ通信不要」とご記入下さると大変ありがたいです。
3. 会員及び賛助会員お誘いのお願い
これからも楽譜点訳の活動を続けていくために、私どもは、新たに点訳ボランティアをしてみようという方がお仲間に加わってくださることを強く願っております。お知り合いの方にお声掛けいただけると大変嬉しく、また、点訳はできないが、トニカの活動に興味を持たれご支援くださる方がいらっしゃる場合は是非、賛助会のことをお伝え願いたく存じます。ご協力よろしくお願い申し上げます。
〔 広報担当 吉田・榊原 〕
ご利用者の藤吉音羽さんが、この春、東京芸術大学修士課程の音楽教育分野に入学されました。新入学に際しての抱負や今後の希望をお聞かせくださるよう投稿をお願いいたしました。以下に全文を掲載いたします。
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ピアノとの出会い・点字楽譜との出会いを音楽教育に生かせるように
東京藝術大学大学院音楽研究科
音楽文化学専攻音楽教育研究分野修士課程1年
藤吉 乙羽
「ピアノと点字楽譜に出会い、音楽の道を選ぶことになった経験を生かし、視覚に障害のある子どもたちの音楽教育の可能性を広げていきたい。そして,私自身も、点字楽譜ユーザーの一人として、ピアノ演奏を続けていきたい。」
このような思いで、私はこの春より、東京藝術大学大学院音楽研究科に入学し、音楽教育を専攻しています。音楽教育研究分野では、音楽教育研究の方法と分野についての知識や技術を学びながら、自分自身のテーマに基づく研究を行い、さらに自分自身の専攻楽器であるピアノの演奏も深めています。私は、視覚に障害のあるピアノ学習者の演奏表現に着目し、学習者のもつ感覚やイメージを生かしたピアノ指導の方法や学習のあり方を研究していきたいと考えています。
私が点字楽譜と出会ったのは、地元の盲学校の小学部に入学したころでした。そのときは、少し点字を勉強していた母が、音符や休符などを書いたカードを1枚ずつ手作りで作ってくれて、ピアノの先生がそのカードを使いながら、楽譜の仕組みを教えてくださいました。ただ、当時私の周りには、実際に点字楽譜を使用されている方は、ピアノの先生も含め、だれもいませんでした。そのため、実際の曲を点字楽譜で読めるようになるまでには、まずは音を耳で覚え、覚えた音と一つ一つの音符や記号の書き方を照らし合わせながら、自分一人で点字楽譜を読むことを何度も繰り返しました。この作業はとても気の遠くなるものでしたが、聴いた音を点字で読めるようになること、楽譜で読んだ音をピアノで弾けるようになること、そして耳だけでは聴き取れなかった情報を楽譜を通して発見できたときの喜びは、ピアノを続けている中で、とてもわくわくすることであったのを、今でも鮮明に覚えています。
みなさまのおかげで、これまでたくさんの曲に取り組みながら、音楽の学びを続けることができました。トニカで点訳いただいた曲は、どれも思い出深いものばかりですが、学部在学時に取り組んだ2台ピアノは、特に印象に残っています。相手の奏者と同じ楽譜を読み、自分のパートも相手のパートもより細かいところまで把握した上で、さまざまなアイディアを出し合いながら演奏を仕上げていくという、大変有意義なアンサンブルの経験をすることができました。大学の藝術祭で、友人たちと自主コンサートを企画し、2台8手に挑戦したことも、とても楽しい思い出です。
私にとって点字楽譜は、音楽と向き合う際に、自ら考え、表現するために欠かせないものです。そして、この「自ら考え、表現する」ことは、音楽を専門にする人にとっても、趣味として愛好する人にとっても、とても大切なことではないかと思っています。将来は音楽教育に関わる仕事を通じて、視覚に障害のある子どもたちが、このような力を身に着けていける場や機会を広げていきたいです。その方法として、点字楽譜の指導や、点字楽譜を使った音楽の授業やピアノのレッスンができたらと思う一方で、点字楽譜を読めるようになるのは決して容易ではないことは、私自身の経験からも強く実感しているところでもあるため、点字楽譜の学習をより分かりやすく、楽しいものにする方法も見つけていけたらと思います。より多くの人々が気軽に音楽と関わっていくことのできる社会を目指し、大学院での学びと研究に取り組んでまいります。
最後になりますが、たくさんの点字楽譜で私の音楽の世界を広げ、これまでの音楽の学びを支えてくださったみなさまに、心より感謝申し上げます。一日でも早く、安心してみなさまとお会いできる毎日が戻ってくることを願っております。
今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。
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