点訳アラカルト


第20回 スラーについて (2)
2003.4.20


前回は(1)短いスラー、(2)長いスラー、(3)フレーズスラーを説明しましたが、今回は(4)声部間のスラー、(5)両手間のスラー、(6)装飾音のスラーについて説明します。

両手間のスラー、 装飾音のスラーは想像がつくと思いますが、 声部間のスラーは?と思われたのではないでしょうか。 それでは説明していきましょう。

スラーの種類 記号
(1) 短いスラー 1、4の点        
(2) 長いスラー 1、4の点 1、4の点 1、4の点  
(3) フレーズスラー 5、6の点 1、2の点 4、5の点 2、3の点
(4) 声部間のスラー 4、5、6の点 1、4の点      
(5) 両手間のスラー 5の点 1、4の点      
(6) 装飾音のスラー 5、6の点 1、4の点      
点字音符と音列の説明はこちら。

ライン

(4) 声部間のスラー
次の楽譜の中にあるようなスラーで、上の声部から下の声部へというふうに、違う声部にかかるスラーのことで  4、5、6の点 1、4の点 で表します。

五線譜

     3、4、5の点 2、3、5、6の点 1、2、3の点 3の点 4分休符_1、2、3、6の点 4音列_5の点 8分音符レ_1、5の点 4、5、6の点 1、4の点 1、4の点 8分音符ミ_1、2、4の点 8分音符ファ_1、2、4、5の点 8分音符ミ_1、2、4の点 8分音符レ_1、5の点 8分音符ド_1、4、5の点
4分休符_1、2、3、6の点 4音列_5の点 4分音符ソ_1、2、5、6の点 4分音符ファ_1、2、4、5、6の点 4分音符レ_1、5、6の点 部分け記号_1、2、6の点 部分け記号_3、4、5の点 4、5、6の点 1、4の点 3音列_4、5、6の点 全音符シ_2、3、4、5、6の点   4音列_5の点 全音符ド_1、3、4、5、6の点      
 3、4、5の点 2、3、5、6の点 1、2、3の点 はト音記号を表します。

上記点字楽譜では「部分け」という方法を使っていますが、声部間のスラーにはこの方法が使われます。いずれまた「部分け」については説明します。

ライン

(5) 両手間のスラー
鍵盤楽器の右(左)手から左(右)手へと移って行く旋律にかかるスラーで 5の点 1、4の点 で表します。

五線譜

4、6の点 3、4、5の点 5音列_4、6の点 4分音符ド_1、4、5、6の点 5の点 1、4の点 1、4の点 4音列_5の点 4分音符ソ_1、2、5、6の点 4分音符ミ_1、2、4、6の点   5音列_4、6の点 2分音符ド_1、3、4、5の点 付点_3の点
4、5、6の点 3、4、5の点 3音列_4、5、6の点 2分音符ド_1、3、4、5の点 付点_3の点   4音列_5の点 4分音符ド_1、4、5、6の点 3音列_4、5、6の点 4分音符ソ_1、2、5、6の点 5の点 1、4の点 4分音符ミ_1、2、4、6の点  
いずれ鍵盤楽器の楽譜を説明する時があると思いますが
4、6の点 3、4、5の点 は右手   4、5、6の点 3、4、5の点 は左手を表します。

ライン

(6) 装飾音のスラー
装飾音符についているスラーで 5、6の点 1、4の点 で表します。

五線譜

2、6の点 5音列_4、6の点 8分音符レ_1、5の点 5、6の点 1、4の点 4分音符ミ_1、2、4、6の点
※ 2、6の点 は短前打音の記号です。

これらのスラーの使い方は、 前回の短いスラー、 長いスラーの使い方と同じです。

楽譜を見ているものにとって、これらのスラーはどの音符からどこの音符までかかっているのか一目瞭然ですが、点字楽譜ではスラーの始まりを読んでも終わりは読み進んでいくまでわからないわけです。
 下の楽譜はドビュッシーのピアノ曲のある一部分ですが、これを点訳する方も大変ですが、点訳されたものを読むのも並大抵ではないことでしょう。

五線譜

点字楽譜

ライン

以上2回にわたり点字楽譜に使われているスラーを説明しましたが、弦楽器や管楽器のスラーは奏法にも関わってきますし、声楽曲では歌詞との対応にも関わる重要な記号です。
次回をお楽しみに・・・。

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