点訳アラカルト


第23回 点字のピアノ楽譜 (1)
2003.8.2


トニカにはいろいろな種類の楽譜が点訳依頼されてきますが、中でもピアノ曲の点訳依頼がたくさん届きます。初心者の方の易しい曲から音大生の超難曲にいたるまで、あらゆるレベルの曲の点訳依頼が国内のみならず海外からも寄せられています。

五線譜に表された右手と左手の音符をどのように点字で表していくのか、2回にわたってピアノ楽譜の点訳の仕方について簡単に説明しましょう。

ピアノ曲の点訳の方法にはライン・オーバー・ライン(line over line)、バー・オーバー・バー(bar over bar)、その他いくつかの方法がありますが、トニカではライン・オーバー・ラインを使っていますので、ここではその方法で説明します。

五線譜ではト音記号やヘ音記号が行頭にありますが、点字楽譜では右手記号 4,6の点 3、4、5の点 左手記号 4、5、6の点 3、4、5の点 を行頭に書きます。そして右手記号のあとに1小節書いたら1マス空けて次の小節を書きます。

左手記号の行にも同じように右手と同じ小節数分を書きます。この作業をくり返して一曲を仕上げますが、点字の楽譜と五線譜との大きな違いは、同じ拍の両手の音符同士が縦の線に揃っているわけではないので、右手・左手の音符の数に差があったり、リズムが違ったりするとズレは大きく、読み手は右手・左手を水平方向に読んで覚え、頭の中で垂直方向に音を組み立てなければなりません。大変難しいことだろうと思います。

次に、皆様ご存知の「歓喜の歌」の点訳例を挙げます。
アラカルト第8回第9回第20回の説明を参考にして解読してみて下さい。

ライン

五線譜

上記の五線譜を点訳すると・・・

        3、4、5、6の点 1、4、5の点 2、5、6の点          
4,6の点 3、4、5の点 4,6の点 1、2、4、6の点 1、2、4、6の点 1、2、4、5、6の点 1、2、5、6の点   1、2、5、6の点 1、2、4、5、6の点 1、2、4、6の点 1、5、6の点
4、5、6の点 3、4、5の点 5の点 1、3、4、5、6の点 3、5の点   1、3、5、6の点 3、4、5、6の点        
4,6の点 3、4、5の点 4,6の点 1、4、5、6の点 1、4、5、6の点 1、5、6の点 1、2、4、6の点   1、2、4、6の点 1、5、6の点 1、3、5の点  
4、5、6の点 3、4、5の点 5の点 1、2、3、4、6の点 3、4、6の点   1、2、3、4、5、6の点 3、4の点        

となります。
詳しい解説は次の通りです。

1段目         四分の四拍子          
2段目 右手記号 5音列 ファ   ファ
3段目 左手記号 4音列 5度   4度        
4段目 右手記号 5音列   レー  
5段目 左手記号 4音列 3度   ファ 2度        

ライン

以上、ピアノの楽譜の大まかな表し方を説明しましたが、これに強弱記号や指使い、ペダル等ついたらどう表すのでしょう。
次回をお楽しみに・・・。

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