点訳アラカルト


第19回 スラーについて (1)
2003.3.1


スラーといえば ・・・2つ以上の音符についている弧線・・・ で、それらの音をなめらかに演奏する記号と知られていますが、トニカ通信第5号の「点訳は二人三脚」の中に 『点字楽譜には様々な応用と工夫がある。例えば音符から音符へかかるスラーでさえ数種類あるし』 というくだりがあります。数種類もいったいどんなスラーがあるのでしょう。皆さんはいくつ思い浮かびますか?点字楽譜では次のような記号でスラーを使いわけています。

スラーの種類 記号
(1) 短いスラー 1、4の点        
(2) 長いスラー 1、4の点 1、4の点 1、4の点  
(3) フレーズスラー 5、6の点 1、2の点 4、5の点 2、3の点
(4) 声部間のスラー 4、5、6の点 1、4の点      
(5) 両手間のスラー 5の点 1、4の点      
(6) 装飾音のスラー 5、6の点 1、4の点      

それではこれらのスラーの使い方を2回にわけて説明していきましょう。今回は (1)〜(3)です。 点字音符と音列の説明はこちら。

ライン

(1) 短いスラー
4個以下の音符にかかるスラーを記す時に使われ、それぞれの音符の間に 1、4の点 を入れます。

五線譜

数符_3、4、5、6 4_1、4、5の点 4下がり_2、5、6の点   4音列_5の点 4分音符ド_1、4、5、6の点 スラー_1、4の点 4分音符レ_1、5、6の点 スラー_1、4の点 4分音符ミ_1、2、4、6の点 スラー_1、4の点 4分音符ファ_1、2、4、5、6の点   4分音符ソ_1、2、5、6の点 スラー_1、4の点 4分音符ラ_2、4、6の点 スラー_1、4の点 2分音符ソ_1、2、3、5の点
※ 最初の3マスで拍子を表していますが、スラー以外の説明は省略します。

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(2) 長いスラー
5個以上の音符にわたってついているスラーの場合で、始まりの音符のあとに スラー_1、4の点 スラー_1、4の点 を、終わりの音符の前に スラー_1、4の点 を入れます。

五線譜

数符_3、4、5、6 4_1、4、5の点 4下がり_2、5、6の点   4音列_5の点 4分音符ド_1、4、5、6の点 スラー_1、4の点 スラー_1、4の点 4分音符レ_1、5、6の点 4分音符ミ_1、2、4、6の点 4分音符ファ_1、2、4、5、6の点   4分音符ソ_1、2、5、6の点 4分音符ラ_2、4、6の点 スラー_1、4の点 2分音符ソ_1、2、3、5の点

長いスラーは短いスラーと同じ記号を使いますが、始まりの音符の後に2個、終わりの音符の前に1個入れて、その間の記号は省略します。この使い方は次回説明する(4)、(5)、(6)のスラーの場合にもあてはまります。

ライン

(3) フレーズスラー
文字どおりフレーズ(旋律線の自然な区切り)を表す場合に使いますが、その他にも点訳する上でいろいろな場合に使われるスラーです。スラーのかかっている音符を 5、6の点 1、2の点 と 4、5の点 2、3の点 ではさんで表します。

五線譜

    数符_3、4、5、6 4_1、4、5の点 4下がり_2、5、6の点   5、6の点 1、2の点 4音列_5の点 4分音符ド_1、4、5、6の点 4分音符レ_1、5、6の点 4分音符ミ_1、2、4、6の点 4分音符ファ_1、2、4、5、6の点   4分音符ソ_1、2、5、6の点 4分音符ラ_2、4、6の点 2分音符ソ_1、2、3、5の点
4音列_5の点 4分音符ファ_1、2、4、5、6の点 4分音符ミ_1、2、4、6の点 4分音符レ_1、5、6の点 4分音符ミ_1、2、4、6の点   2分音符ド_1、3、4、5の点 付点_3の点 4、5の点 2、3の点 4分休符_1、2、3、6の点            

フレーズスラーは、長いスラーで表す事も出来ます。

    数符_3、4、5、6 4_1、4、5の点 4下がり_2、5、6の点   4音列_5の点 4分音符ド_1、4、5、6の点 スラー_1、4の点 スラー_1、4の点 4分音符レ_1、5、6の点 4分音符ミ_1、2、4、6の点 4分音符ファ_1、2、4、5、6の点   4分音符ソ_1、2、5、6の点 4分音符ラ_2、4、6の点 2分音符ソ_1、2、3、5の点
4音列_5の点 4分音符ファ_1、2、4、5、6の点 4分音符ミ_1、2、4、6の点 4分音符レ_1、5、6の点 4分音符ミ_1、2、4、6の点 スラー_1、4の点   2分音符ド_1、3、4、5の点 付点_3の点 4分休符_1、2、3、6の点              

次に下の楽譜のようにスラーの中にスラーがあるような場合はどうでしょう。

五線譜

例えばこの楽譜を長いスラーと短いスラーだけで表すと次のようになります。

    数符_3、4、5、6 4_1、4、5の点 4下がり_2、5、6の点   4音列_5の点 4分音符ド_1、4、5、6の点 スラー_1、4の点 スラー_1、4の点 4分音符レ_1、5、6の点 4分音符ミ_1、2、4、6の点 4分音符ファ_1、2、4、5、6の点      
4音列_5の点 4分音符ソ_1、2、5、6の点 スラー_1、4の点 4分音符ラ_2、4、6の点 スラー_1、4の点 2分音符ソ_1、2、3、5の点   4分音符ファ_1、2、4、5、6の点 4分音符ミ_1、2、4、6の点 4分音符レ_1、5、6の点 4分音符ミ_1、2、4、6の点 スラー_1、4の点   2分音符ド_1、3、4、5の点 付点_3の点 4分休符_1、2、3、6の点

ところがこの点字楽譜を読むと次の楽譜が思い浮かびます。

五線譜

つまり始めの楽譜とは違う楽譜になってしまいます。スラーのかかり方を間違えない為に、二重のスラーは 5、6の点 1、2の点 と 4、5の点 2、3の点 で囲み、 スラー_1、4の点 のスラーを使います。

    数符_3、4、5、6 4_1、4、5の点 4下がり_2、5、6の点   5、6の点 1、2の点 4音列_5の点 4分音符ド_1、4、5、6の点 4分音符レ_1、5、6の点 4分音符ミ_1、2、4、6の点 4分音符ファ_1、2、4、5、6の点        
4音列_5の点 4分音符ソ_1、2、5、6の点 スラー_1、4の点 4分音符ラ_2、4、6の点 スラー_1、4の点 2分音符ソ_1、2、3、5の点   4分音符ファ_1、2、4、5、6の点 4分音符ミ_1、2、4、6の点 4分音符レ_1、5、6の点 4分音符ミ_1、2、4、6の点   2分音符ド_1、3、4、5の点 付点_3の点 4、5の点 2、3の点 4分休符_1、2、3、6の点

ライン

以上、フレーズスラーの使い方として、ほんの一例をご紹介しました。その他の使い方はここでは省略します。
それでは次回、声部間・両手間・装飾音のスラーをお楽しみに。

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