点訳アラカルト


第24回 点字のピアノ楽譜 (2)
2003.9.1


前回の点訳アラカルトでは簡単に点字のピアノの楽譜を説明しましたが、おわかりいただけましたか?謎解きをするように感じられた方も、いらっしゃるのではないでしょうか。今回はもう少し発展させて強弱記号、指記号そして、ペダル記号が加わったもので考えてみましょう。

ライン

点字楽譜では強弱記号は右手パートに書きます。強弱記号にはフォルテ(f)、メゾフォルテ(mf)、ピアノ(p)などアルファベットが使われていますが、音符や休符などにもアルファベットと同じ点字で表すものがあります。

そこで、「次の点字は音符ではなくアルファベットで読んでください」ということを示すために強弱記号の前に 3、4、5の点  を記します。アルファベットで f は 1、2、4の点 ですからフォルテなら 3、4、5の点 1、2、4の点 です。 もし、3、4、5の点 がなければ 1、2、4の点 は f ではなく八分音符のミとなってしまいます。

また、強弱記号の後の音符には必ず音列記号を付けなければならないという規則があります。

指記号は、 1の指 1の点 2の指 1、2の点 3の指 1、2、3の点 4の指 2の点 5の指 1、3の点 をそれぞれの音符の後に書きます。これはわかりやすいですね。

ペダル記号は左手パートに書きますが、踏む記号 1、2、6の点 1、4の点 は音符の前、離す記号 1、6の点 1、4の点 は音符の後に書きます。

以上の説明をもとに、次の「歓喜の歌」の出だしの2小節を点訳してみましょう。
五線譜

上記の五線譜を点訳すると・・・

        3、4、5、6の点 1、4、5の点 2、5、6の点            
4、6の点 3、4、5の点 3の点 3、4、5の点 1、2、4の点 4、6の点 1、2、4、6の点 1、2、3の点 1、2、4、6の点 1、2、4、5、6の点 2の点 1、2、5、6の点 1、3の点
4、5、6の点 3、4、5の点 3の点 1、2、6の点 1、4の点 5の点 1、3、4、5、6の点 1、3の点 3、5の点 1の点 1、6の点 1、4の点  
4、6の点 3、4、5の点 4、6の点 1、2、5、6の点 1、2、4、5、6の点 1、2、4、6の点 1、5、6の点            
4、5、6の点 3、4、5の点 3の点 1、2、6の点 1、4の点 5の点 1、3、5、6の点 2の点 3、4、5、6の点 1、6の点 1、4の点    

となります。
詳しい解説は次の通りです。

1段目         四分の四拍子            
2段目 右手記号 3の点 5音列 3の指 ファ 4の指 5の指
3段目 左手記号 3の点 踏む 4音列 5の指 5度 1の指 離す  
4段目 右手記号 5音列 ファ            
5段目 左手記号 3の点 踏む 4音列 4の指 4度 離す    

解説の「踏む」はペダルを踏む記号、「離す」はペダルを離す記号です。また、右手・左手記号の後に 3の点 が記されているところがありますが、これは右手・左手記号の後に1、2、3の点を含むもの(ここでは強弱記号の 3、4、5の点 とペダル記号の 1、2、6の点 )が来たら手記号の後に 3の点 を付けなければならないという規則があるためです。

ライン

五線譜では同時に見ることができる諸々の記号や音符も、点字楽譜では一つ一つ指でなぞっていくわけですから点字の規則に従って順番に整理し、一列に並べていかなければなりません。点訳者にとっても大変ですが、点字楽譜を使って演奏される方はこれらを先ず暗譜されるのですから、更に大変なことでしょう。
次回もお楽しみに・・・。

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