点訳アラカルト


第33回 部分け・内分け
2004.12.3

今回は「部分け」「内分け」について説明します。

五線譜

同時に鳴る複数の音が同じリズムを刻む時は和音で表せますが、上記のような違ったリズムで二つ以上の声部(音符の棒の向きで判断)が進行する時は和音では表せません。このような時は、部分けというやり方で点訳します。一つの声部を書いたら部分け記号を書き、また別の声部を書きます。つまり、縦に重なっているものを上下に分けて横に並べるというわけです。

「部分け」は小節全体で使う時と一部に使う時があります。
小節全体が複数の声部に分かれている時は 1、2、6の点 3、4、5の点 一部だけが分かれている時は一声部の所と二声部の所を小節内で縦に「内分け」 4、6の点 1、3の点 し、更に二声部の所を上下に「部分け」 
5の点 2の点 します。
わかり易く言えば、魚一匹全体を二枚におろすのと、輪切りにしてから二枚におろすのとの違いです。

次にモーツァルトのソナタK331の冒頭部分の譜例を使って説明します。点字と照らし合わせて読んでみて下さい。今までのアラカルト、8回19回23回24回などを参照して読んでいただければわかり易くなると思います。

右手は単旋律ですが、左手は二声に分かれています。点字の規則によって左手は、下のメロディーを先に書きます。(和音の場合も同様です。)1小節分書いたら部分け記号を書いて、次に上のメロディーを書きます。2小節目、3小節目も同様です。4小節目は内分けを使います。右手は、ドの四分音符の後で内分けし、残りの音符を上下に部分けします。ここで注意が必要です。右手の部分けでは上のメロディーから書かなければなりません。左手は、右手と内分けの位置は同じですが、前の部分が二声の部分けで後の部分が普通の単旋律となります。

五線譜

        1、4、6の点 1、4、6の点 1、4、6の点 3、4、5、6の点 1、2、4の点 2、3、6の点                    
4、6の点 3、4、5の点 3の点 3、4、5の点 1、2、3、4の点 4、6の点 1、4、5の点 3の点 1、2の点 1、4の点 1、3、5、6の点 1、4の点 1、4、5の点 1、2、4、6の点 1、2、4の点          
    5の点 2、4、5の点 3の点 1の点 1、4の点 1、3、4、5、6の点 1、2、3の点 1、4の点 2、4、5の点 1、2の点 1、5、6の点 1、5の点            
4、5、6の点 3、4、5の点 4、5、6の点 2、4の点 3の点 2の点 2、3、4、5、6の点 2、4の点 1、4、5、6の点 1、4、5の点 1、2、6の点 3、4、5の点 5の点 1、2、4、6の点 1、2、4の点 1、2、4、6の点 1、2、4の点      
    4、5、6の点 1、2、5の点 3の点 2の点 2、3、4、6の点 1、2、5の点 2、4、5、6の点 2、4、5の点 1、2、6の点 3、4、5の点 5の点 1、2、4、6の点 1、2、4の点 1、2、4、6の点 1、2、4の点      
4、6の点 3、4、5の点 5の点 2、4、6の点 2、4の点 2、4、5、6の点 2、4、5の点   1、4、5、6の点 4、6の点 1、3の点 3、4、5の点 2、3、4の点 1、2、4の点 4、6の点 1、2、3、4、6の点 1、3の点 1、4の点 1、3、5、6の点 5の点
    3、4、5の点 1、2、3、4の点 4、6の点 1、4、5、6の点 1、4の点 2、4、5の点 5の点 2の点 5の点 2、4、5の点 1、2の点 2、4、6の点 1、2、5の点          
4、5、6の点 3、4、5の点 4、5、6の点 1、2、4、5、6の点 2の点 1、2、4、5の点 1、2、5、6の点 1、2、5の点 1、2、6の点 3、4、5の点 5の点 1、2、4、6の点 1、2、4の点 1、2、4、6の点 1、2、4の点          
    4、5、6の点 2、4、6の点 5の点 2の点 5の点 1、2、4、6の点 4、6の点 1、3の点 4、5、6の点 1、5の点 1、3の点 1、2、4、6の点 3の点          

詳しい説明は下記のようになります。

        ♯♯♯ 6/8拍子                    
右手 3の点 p 5音列 付点8分音符
2の指 スラー 16分音符
スラー 8分音符
4分音符
8分音符
ミ 
         
    4音列 付点8分音符
1の指 スラー 16分音符
3の指 スラー 8分音符
2の指 4分音符
8分音符
           
左手 3音列 付点8分音符
4の指 16分音符
8分音符
4分音符
8分音符
部分け 4音列 4分音符
8分音符
4分音符
8分音符
     
    3音列 付点8分音符
4の指 16分音符
8分音符
4分音符
8分音符
部分け 4音列 4分音符
8分音符
4分音符
8分音符
     
右手 4音列 4分音符
8分音符
4分音符
8分音符
  4分音符
内分け sf 5音列 16分音符
5の指 スラー 16分音符
繋ぎ譜
    p 5音列 4分音符
スラー 8分音符
部分け 4音列 8分音符
2の指 4分音符
8分音符
         
左手 3音列 4分音符
ファ
4の指 8分音符
ファ
4分音符
8分音符
部分け 4音列 4分音符
8分音符
4分音符
8分音符
         
    3音列 4分音符
部分け 4音列 4分音符
内分け 3音列 8分音符
5の指 付点4分音符
         

このようにグループ分けした音符群がパズルのように組み合わさって音楽になっていきます。バッハのフーガなどはほとんどの小節が部分けで書かれます。分解された楽譜を頭の中で綾なすメロディーに再構築し演奏してくれる音楽家には畏敬の念を感じずにはいられません。
以上

次回もお楽しみに・・・。
アラカルト目次 ページトップ