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今年も賛助会員の皆様へ「トニカ」通信をお届けする季節となった。今回は記事を書いて頂いた四人のユーザーの方を紹介したい。
ヴィオラの菊池さんは、東京芸術大学・同大学院へと進学し、アイメイトとともに通学した。大学生の頃、友人達とのコンパなどでアイメイトを店に入れてもらえず、仲間に迷惑をかけると悩んだこともあったと聞いた。今の世の中アイメイトがバリアになってしまうこともあるんだと私は切なく思った。その菊池さんもイギリス留学が決まったと聞く。新しい国でどのような音楽の出会いがあるだろうか。
ピアニストの坂巻さんは、中学生の頃からずっと演奏を聴かせて頂いている。国立音大の学生の頃から一人で暮らし、現在はフルタイムの仕事をしながらソロや伴奏の仕事で活躍している。最近は何を勉強しているのと聞いたら、ショパンの練習曲を全曲弾きたいと張り切っていた。
フランスに単身留学中の岩田さんは、高校生の頃リュートやギターを奏で、ピアノまで演奏していた物静かな青年だ。日本の音楽大学に進学せず、ベルギーにチェンバロの勉強に行くと聞いたときは誰もが驚いた。そして日本から送る荷物の中に電気釜を入れたと聞いた時、私は彼が音楽だけを学びに行くのではなくヨーロッパで生活をするのだと、その大きな決心を知ったような気がした。その後フランスへ渡り、休暇の度に帰国し私達に演奏を聴かせてくれる。
仙台ガブリエリ・ブラスの戸田さんとはずいぶん長いお付き合いである。一度もお会いしたことがないのに、電話では十年来の飲み友達のように懐かしい。数回テープで聴かせて頂いた演奏は軽快で心地よい。ぜひ一度お会いしたいと願っている。その時はきっと「お久し振りです」と言ってしまうだろう。
楽譜の点訳は決して易しくはない。どんなに簡単な音符でも間違える。何度見直しても間違える。B5の紙に32マス、22行。点字プリンターから打ち出される点字はあまりに美しく完璧に見えるが、本当は打ち出された点字を読み返すのは恐ろしい。演奏者はそのB5の紙に魂を吹き込み命を与える。演歌であろうとシンフォニーであろうと、音になった楽譜はもやは点訳という作業を超え、音楽として活き活きと輝く。
(まつなが ともこ) |